■1on1ミーティングをやらないほうがいい環境ベスト3


現代的な組織課題に有効であるとして、多くの企業で実施されるようになった1on1ミーティング。しかし、多くの組織で1on1ミーティングがうまくいかない、あるいは継続されないという声を耳にします。なぜでしょうか?

理由は色々ありますが、スキル不足を除き、以下の3つの要因が、1on1ミーティングが破綻する背景にあると思います。この要因が一つでもある限り、いくら上司がスキルを磨いても1on1ミーティングは有意義なものになりません。3つそろった上で1on1ミーティングを決行しているケースもあるとおもいますが、苦痛でしょうね、、危険ですらあります。

1. 上司のテイカー気質

上司がテイカーだと、1on1ミーティングは部下にとって負担に感じられます。テイカーとは、他者よりも自分の利益を優先し、他人からできるだけ多くを得ようとする人のこと。テイカーの上司は、部下から得られる情報や意見を自分の利益のために利用する傾向があり、部下はそのために本音を話すことを避けます。結果、1on1ミーティングは表面的なものになりがちです。また、自分勝手な理屈を部下に押し付け、部下から時間と労力を当たり前のように搾り取ります。そんなスタンスの上司との1on1、、部下としてはいかにして逃げるかで頭がいっぱいで、建設的な考えをめぐらせることなどできません。普段の人柄は必ずしもテイカーではないのに、上司としてはテイカーになる人もいます。それが悪いと断ずるわけはありませんが、私は好きではありません。そして1on1は決して有意義にはなりません。やらないほうがいいでしょう。

2. 会社の過度なピラミッド文化

ピラミッド型の組織文化では、情報や意見は上から下へ一方的に伝わることが多くなります。このような文化の中で行われる1on1ミーティングでは、部下は上司の意向を受け入れる立場になりがちで、自らの意見や感想を伝える機会が少なくなります。とはいえ、ほとんどの会社ではピラミット型の組織になっていますし、それを否定するものでもありません。しかしピラミッドの意識が強すぎて、「上司の考えと違うこと言ってしまったらthe end。。」「正直者は馬鹿を見る。」それが本当のルールになっている会社で、自分の考えを上司に話しながら深めていくのは至難の業です。双方向のコミュニケーションが難しくなると、1on1ミーティングの有意義さは大きく低下します。部下からすれば地雷を踏み分けるような気疲れをした挙げ句に、なんのメリットも得られない。それならやらないほうがいいです。地雷の避け方の訓練にはなるかもしれませんが。

3. 社員の我慢慣れ

我慢慣れとは、何かしらの問題や不満があるものの、それに対して声を上げることなく我慢し続けることを指します。長い間我慢慣れしている社員は、1on1ミーティングでの本音の共有が難しくなります。我慢慣れすると、辛いことや嫌なことを感じなくてすみますが、その反面、嬉しいことや楽しいことも感じづらくなります。そんな状態が長引くと、自分は何が大事で、何をやりたいのか、どうなりたいか、分からなくなってしまいます。その結果、1on1ミーティングをしてもらっても、真の課題や自分の意見が見つからず、ミーティングが形骸化する可能性が高まります。本来1on1ミーティングにおいて、問いかけた後の沈黙の時間は、部下が内省を深めている大事な時間です。1on1が価値を生む瞬間ですので、じっくり待ってあげてほしいところです。しかし、我慢慣れの末に感情を失い、自発的に考えられなくなってしまった部下にとっては、何も生まないばかりか苦痛の時間でしかありません。やめてあげたほうがいいでしょう。

とはいうものの

1.上司のテイカー気質。 2.会社の過度なピラミッド文化。3.社員の我慢慣れ。があるなら、1on1はやらないほうが良いと書きました。実際に、有意義なものにはならないし、むしろ苦痛になるので、反対意見が上がったり、自然消滅してしまうでしょう。

しかし、あなたはなぜ自分の会社で1on1ミーティングをやってみようと思ったのですか?逆説的ではありますが、1on1ミーティングをすることで上記の3要素のようなものを変えたいと思ったのではないでしょうか? いうなれば、1on1ミーティングが機能しないような状態を変えたくて1on1ミーティングをする。そういう矛盾をはらんでいるのですから、まともにいかないのは必然です。諸々の工夫と相当な覚悟をもって進めなければなりません。 

実際のところ、この3要素はどの会社にも多かれ少なかれ存在します。程度の問題です。同じ会社の中にも、いろんな人がいます。同じ属性にくくられる人にも濃淡があります。また、元凶のように書かれてる3要素ですが、1on1ミーティングに向かないというだけで、あたなの会社の事業には役に立っている部分もあると思います。あなたの会社の状況は、あなたの会社オリジナルのものです。ですからあなたの会社を変えるには、それらの事をよく観察しながら対応する柔軟さが必要になります。

まとめ

1on1ミーティングをすることは目的ではなく手段です。1on1ミーティングの有意義さは、参加者の態度や組織文化、そして社員の状態に大きく左右されます。経営環境によっても変わります。これらの要因を理解し、対応することで、1on1ミーティングはあなたの会社なりの組織の成長と部下の満足度向上に大きく寄与するでしょう。仮に今は、上記の3要素が色濃い環境であっても、少しずつ変えていくことは出来ます。その道のりは人それぞれ、会社それぞれです。長い道のりになる場合もあると思いますが、道はあります。

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この記事を書いた人

経営者・管理職・リーダーを対象に年間400回以上の1on1を実施。あの手この手で企業の対話文化を盛り上げています。静岡に住みながら、主にzoomで全国のクライアント様をサポート。伺いして集合研修をおこなったり、アウトドアでの研修も提案しています。

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