■1on1ミーティングと「敬語」

企業での1on1ミーティングがなかなか定着しない一因には、敬語が関係していると思います。ここで言いたいのは、敬語そのものが問題だというわけではありません。敬語は非常に重要な要素であり、ビジネスの現場では必須です。しかし、問題は1on1ミーティングにおいて例えば、一方が完全な平語調で、もう一方が極端な敬語調で会話をすると、1on1ミーティングの本来の目的が達成しずらいという点です。また、それを無理に矯正しようとすると、互いに違和感に耐えられなくなるということです。

敬語は、自己の考えや感情を表現するための言語的な幅を狭める効果があります。また、敬語は自己表現よりも相手に対する敬意を示すことが優先されがちになります。これが、意思疎通や感情表現の障壁となることがあります。

しかしながら、これまでの関係性から考えて、上司が突如として敬語で話し始めたりすると、お互いに強烈な違和感を感じてしまうことがあるでしょう。一連の語り口が敬語調であるか、平語調であるかは、「どちらか?」ではなく、「グラデーション」があります。グラデーションは単語単体でも表現できますし、その表現の使用頻度でも調整できます。このグラデーションを目的に応じて微調整してみてはいかがでしょうか?

ただし、強烈な違和感を生じさせるような調整は避けるべきです。そのような状況では、本音を話すことすら困難になります。従来の関係性を鑑み、目的に向かって、許容範囲の違和感を感じながらも、それにチャレンジすることで慣れていくのが良いかと思います。言葉が変われば、関係性も変わります。

例えば、部下に対して平語で高圧的な話し方をしていた上司は、平語でもマイルドな表現を選んたり、ライトな敬語を少し混ぜてみるとよいでしょう。一方、上司に対して過度にへりくだっている部下は、敬語をライトにしたり、少し平語を混ぜてみるとよいでしょう。それにより、1on1ミーティングの目的とされることが多い「相互理解」や「情報共有」がされやすくなります。一人ひとりの意見や感情を正直に伝え、理解し合うためのプラットフォームを作り出すことができるのです。

ただし、言葉遣いの変化は一瞬で生じるものではありません。それは継続的な試みを必要とします。突然の変化は逆にコミュニケーションの障壁となりますから、少しずつ、段階的に変化を促すことが大切です。それがひいては、企業全体のコミュニケーションスタイルにも影響を及ぼします。私の好みですが、みんなが互いにライトな敬語で話す風土が素敵だと感じます。

1on1ミーティングの中で敬語の使い方を再評価し、無理なく適切に調整することで、企業のコミュニケーション環境は大きく改善する可能性があります。部下も上司も自分の思いを正直に表現でき、お互いの意見を尊重することで、より健康的な職場環境を実現できます。それにより、企業全体がより良いパフォーマンスを発揮し、持続的に成長する。世の中にそんな企業が増えると嬉しいです。

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この記事を書いた人

経営者・管理職・リーダーを対象に年間400回以上の1on1を実施。あの手この手で企業の対話文化を盛り上げています。静岡に住みながら、主にzoomで全国のクライアント様をサポート。伺いして集合研修をおこなったり、アウトドアでの研修も提案しています。

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