■部下から反対意見を言われると、つい、カーっとなってしまいます、、

「それはどうですかねぇ、、」

「でも、こうやった方が良いのではないでしょうか?」

「いや、私はこういうふうに考えます。」

部下のそんな発言に、ついカーッとなってしまう。

そして、あとから熱くなってしまったことを後悔する、、

ほとんどの上司の方は、多かれ少なかれそんな体験があるのではないでしょうか?

熱くなってしまう原因は人それぞれ、ケースバイケースですので、その解消法やアプローチもたくさんあります。

今回はそんな中、私自身が効果を実感している方法を1つご紹介します。

根本的な解決には時間がかかるかもしれませんが、今回の記事を読めば、部下の反論にイライラすることは確実に減ります^_^ 

その趣旨を一言でいうと、

成人発達理論を知ることです。

それでは、ハーバード大学教授の組織心理学者、ロバート・キーガン教授の「成人発達理論」の観点から「部下の反対意見にカーッとなってしまう」ケースを考察したいと思います。この構造を承知しておくと、確実に自分をコントロールしやすくなります。

目次

成人発達理論で異論への怒りを考察する

成人発達理論では、人間の意識の発達段階を5つステップに分けています。

そして、生涯を通じてステップ1から順番に2,3と登っていきます。

例えば現在ステップ4にある人でも、

過去には必ず、1,2,3の時期を経ているといいます。

それでは、各々の発達段階に見られる特徴と、

部下の異論への怒りを考察していきます。

発達段階1:具体的思考段階

これは、言葉を話し始めた子供の意識段階なので、ここでは記述を省かせていただきます

発達段階2:道具主義的段階

この段階にある人の意識は極めて自己中心的です。自分の興味・関心・欲求を満たすことにしか意識が向いていません。他人は自分の欲求を満たすための道具だと認識しています。「使えねーなー」なんていう発言がそれを表しています。ですから、発達段階2にいる上司は、部下の異論など雑音にしか聞こえません。「うるさーい!」て感じでしょうか。そもそも自分がカーッとなった事に反省もありません。

発達段階3:他者依存段階

この段階にある人は、前述のような自己中心的な意識からは脱しています。しかし、まだ自らの判断基準を確立していません。組織に従属し、意思決定をもっぱら組織に求めています。「〇〇専務がこういったから・・」みたいな意識です。この発達段階にある上司は、常に会社の方針に即して考え、行動しています。部下に話すことも会社や自分の上司の考えに沿ったものです。部下に異論を唱えられると、自分が拠り所としているものを否定された様に感じて、カーッとなってしまいます。

発達段階4:自己主導段階

この段階にある人は、自分の信念や意思決定基準を確立しています。それに基づいて自律的に行動したり、はっきりと自分の意見を主張できます。自己中心的な”発達段階2”と似たような印象がありますが、人は自分の欲求を満たす為の道具ではないことを、ちゃんと認識している点で、明確に異なります。「それじゃダメだ、なぜなら○○○だから!」みたいな断定的な発言が多くなります。彼の意識の中では”自分の意見”と”自分自身”が一体化しています。ですからこの発達段階にある上司が、部下から異論をとなえられると、自分自身が否定されたように捉えてしまい、カーッとなってしまうのです。

発達段階5:自己変容・相互発達段階

この段階にある人は、”自分の意見”と”自分自身”を分離して認識できています。そのため、自分の意見と違った意見であっても、自分自身への否定とは受け止めず、柔軟に汲み入れ、より的確な意思決定をすることができます。「へー、なんでそう思うの?」など相手の意図を深堀りするような質問をします。他者とのスタンスが発達段階3と似た感じがありますが、意思決定を他人に依存していないという点で明確に異なります。発達段階5に達すると、部下からの異論は、むしろ意思決定の質を高める為に必要不可欠なものと認識し、そんな部下と共に成長して行くことに喜びを感じるようになります。

成人発達理論使用上の注意

成人発達理論からみた部下への怒り。いかがでしょうか?

人間の真理に迫る面白い切り口だと思います。

しかし、この理論を応用する際に心得ておくべきことがあります。

発達段階が上がることは良いことだ。とは一概には言えない

確かに、上位の発達段階に進めれば、仕事や人生において、より複雑な状況に上手く対応できる様になります。ただ世間を見渡せば、他人のことを道具と捉え、自分の欲求をひたすら満たすスタイルで会社を大きくした人もいるでしょう。あるいは自分の判断基準をもっぱら上司に委ねることで信用されて引き上げられたひともいるでしょう。また、発達段階が上がることで、見えるものが多くなり、その結果、より難しい課題に向き合う羽目になったりもします。なにを良しとするか、何が功を奏すかはケースバイケースです。ですから発達段階が低い特徴を示す人に対して、この理論を使ってラベリングして、蔑んだりするのは、浅はかな考えです。

発達段階は固定されておらず上がったり下がったりする

また、同じ人でも、その時々によって違った発達段階の特徴をみせます。例えば、会社では自分の信念でグイグイ人を引っ張る発達段階4のタイプなのに、家庭では奥さんの意見に無条件で従っている発達段階3になってしまう。また、普段は自分の考えに固執せず、人の考えをよく汲み入れる発達段階5の人なのに、体調が悪いときには頑固に持論しがみついてしまう。など、ありますよね。関係性や場の雰囲気、慣れ不慣れ、心身の状態などによっても、同じ人が多様なポジションを取ります。そういった意味でも、不用意に人をラベリングしてはいけません。

自分の発達段階以上の世界観は理解できない

発達段階2の人に、「なんで相手の気持ちがわからないんだ!」と目くじらを立てても、どうにもなりません。発達段階3の人に、「自分の意見を持てよ!」と迫れば「はい、、」というかもしれませんが、そこまででしょう。自分が到達したことのない発達段階からの指摘は、何言ってるのかわからないんです。貴方も学生の頃、親や先生の言ってることに「意味わかんねー」って思いませんでしたか?ですから、こういう理論を学んでも、上位の発達段階の世界観は正直ピンと来ないのです。聞けば分かるというものではないのです。

なぜ、成人発達理論で怒りが押さえられるのか?

自分より上位の発達段階の世界観は理解できないと書きましたが、”人間にはこういった意識の発達段階がある”という事を知るだけでも充分に有益です。

部下の異論に対する自分の怒りがどこから来ているのか?

見当をつけることが出来きます。

それが、自分の意識を客観的に観察することに繋がります。

「あー、俺はまだ自分の意見=自分そのもの、だと思っちゃってるんだなぁ、だから反論にカーッとなっちゃうんだなぁ、、まあしょうがない、徐々に発達段階5をめざそう。」

みたいな視点に立ってみましょう。

ことあるごとに、その視点を思い出すようにすれば、いずれあなたの意識は発達段階5の世界に上昇し、自然と部下の異論に苛立つこともなくなるでしょう。

それには時間がかかるかもしれませんが、それを目指す過程においても、カーッとならないとう意味においてポジティブな効果は充分に見込めます。

部下との1on1などは、とても良い訓練になると思います。意識の発達段階を高める為の訓練として、成人発達理論を意識しつつ、傾聴的な1on1に意図的に取り組んでみてはいかがでしょうか?

最後に

この様に、成人発達理論を知ることは、部下の反対意見にカーッとならないために、とても効果があります。部下に対してだけでなく、同僚に対して、上司に対して、お客さんに対して、家族に対して、誰にでも応用できますし、私はその効果を実感しています。

今回ご紹介した、反論に対する怒りの対処方は、この理論の応用のうちの1つです。他にも、人材育成やチームビルディングに活かせるヒントが満載なので、是非学んでみてください。

成人発達理論についての著書も多数ありますので、Amazonで検索して見てください。

おすすめの2冊をご紹介します。

このブログも下記の2冊を参考にしています。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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この記事を書いた人

経営者・管理職・リーダーを対象に年間400回以上の1on1を実施。あの手この手で企業の対話文化を盛り上げています。静岡に住みながら、主にzoomで全国のクライアント様をサポート。伺いして集合研修をおこなったり、アウトドアでの研修も提案しています。

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